2020年03月12日

成年後見の報酬改定の議論について

※今回はだいぶ更新をさぼっていたので、長めな感じにしてみました。

以前から成年後見の報酬の改定についていわれておりますが、
現状成年後見は本人の財産額に応じて金額が決まっています。

改定の議論についてざっくりいえば、それをやった一律のもの
などではなく仕事量や難易度などに応じて報酬額を決めよう
というものです。

これについてはいろいろと議論はあると思いますが、個人的には
改定なんかしたら専門職のやり手がいなくなるのではと思います。

まず、報酬がいくらなのかという点について現在のようなある程度の
目途が立たないと仕事として受けるのが難しいという点があります。

どの業種でも仕事をするにあたっていくらの収入になるのか分からない
ものに対して受ける方がいるとすればそれはかなりの変わり者です。

また、報酬を決めるのが裁判所などの人間だとすると裁量面の幅が
増えてくると同じことをしていても担当者や書類の書き方で振れ幅が
大きくなりすぎ、不公平が起きる可能性が高いですし、現状では
いくら動いてもたいした評価がされない可能性が高いと思われます。

また、同じ業務を行っても本人の状況によってしんどさは明らかに
異なりますが、その面の評価はやった人にしか分からない部分も
あるため、その面でも不公平が生じます。

例えば、介護サービス業者が入浴のサービスを行う場合、暴力的で
暴れる利用者の場合とおとなしい利用者の場合では明らかにしんどさ
は異なりますが、どちらも同じ入浴サービスです。
これは後見の業務でも同じようなことがいえます。

さらに、本人の財産から報酬を出す現状の制度ではいくらしんどくても
本人の財産がないので報酬がでないということもおきますが、他の
財産を持っている方の後見業務からその負担を補うということも
できなくなります。

実際、後見業務は複数受任すれば単体で見れば大赤字レベルを複数かかえる
ことはよくあることであり、この辺の赤字を比較的黒字といえる業務から
補っているのが現状かと思われます。

後見業務の報酬の問題は本人の財産から出すことから負担感がある
ということですが、根本的な解決は後見人報酬を全て公費負担と
するか、医療保険のように1〜3割負担で残りが公費といった本人の財産
からほぼ出さない形にしないと根本的には解決しないような気がします。

また、報酬問題で根本的な解決方法があるとすれば専門職の後見人を全て
やめさせて、後見人を全て公務員もしくは親族がやるといったのも
いいかもしれません。

これなら採算を気にせずにやれるかもしれません。

後見人報酬が高いと思う方は医療費や介護費を10割負担で払った場合を
考えてもらえればそんなに高いともいえないと気付くかと思われます。

結局、報酬問題が出るのは、どこに費用負担等を押し付けるかの問題であり、
押し付けが過度に行き過ぎるとそれが専門職を含む民間の場合は、やり手が
いなくなるという方向にいきつくかもしれません。

尚、個人的には特別養護老人ホームの費用減額制度のように後見報酬も財産的に
余裕のある人は負担してもらうという今の制度は現状の国の財源問題から
考えればいうほど悪くはないようには思われます。

とりわけ、お金があれば通常は親族がやりたいと申し出ることが多く、後見と
なるのは親族間でもめているか、他の親族と疎遠な方であり、金銭的な負担が
財産のない方と比較して余分にかかったとしても問題はないような気もします。

例えば、1億円の資産のあり、それなりの年金収入があって収支も黒字の方が
月5万円〜6万円といった現行制度の最高レベルの後見報酬がかかったと
してもその方の生活の支障にもならないですし、1億を管理した上で後見
業務をするという責任の度合いも考えればそれくらいの金額があっても
高いともいえない気がします。
逆に財産が200万で年金額が普通の方が相場の下限レベルの報酬で
月額2万円かかるとしてもしんどいと感じるかもしれません。

要するに後見報酬の額が高いと感じるかは支払額ではなくて、もっている
財産や収入に対する割合も影響し、高いかどうかの感覚はいくら下げても
変わらないかもしれません。

もちろん、後見人の仕事ぶりが評価に値する以上の働きなら高額であっても
文句はないはずと思われる方もいらっしゃると思いますが、どんな働きを
しても継続業務で金額が高ければやはり高いという判断となります。

例えば、設備がいい高級ジムがあるとしてジム自体の内容は評価できても
その会費を安いと思って誰もが支払うかといえば別問題です。
後見人業務はレストランなどのたまの贅沢ではなく、継続的に発生する
ものなので高いと感じるものはやはり払いたくないのが現実かと思います。

ただ、後見人という仕事として行う以上は後見人がまともに仕事をすれば
生活できるレベルの報酬は確保する必要があり、それが無理ならやはり
なんらかの形で公的に手当てするしかないと思われます。

上記はあくまで個人的な意見ですが、国やらに財源がなく、どうしても現在の
取り扱いをかえるのであれば報酬の問題よりも現状の専門職が後見人になる
べきかも含めて後見制度の仕組みそのものを変えるべきではと思います。

弊所でも親族が候補者になる場合の成年後見申立書の作成も含めて
成年後見申立書の作成の代行を承っておりますので、お気軽に
御相談ください。

お問い合わせ ⇒ 06−6326−4970

<関連リンク>
成年後見申立て

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